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シニア人材活用のヒントをご紹介・事例研究会レポート
みなさん、こんにちは!(^^)/
人事プロデューサークラブの広報担当、人事の妖精・じん子ちゃんです!
じん子は先日、以前から興味のあった「傾聴」の講座を受講してきました。
年々自分の自我(←思い込み含む…)が強くなってきた気がして、もっと大きな心で相手の言葉に耳を傾ける必要を感じていたからです。
それって、どんなお仕事でも、プライベートでも、大事なことですよね!
受講して感じたのは、「聴き手に徹することの難しさ」です。
例えば、
友人「こないだ、ハワイに行ってきたんだ」
じん子「いいなー。ハワイでどこ行ったの?」
友人「オアフにしか滞在しなかったんだけど、アラモアナで買い物したり、ノースショアに行ったり…」
じん子「ホノルル美術館には行かなかった?あそこ、いいよ~。あとね、タンタラスの丘の夕日とか…」
こんなふうに、相手の話を聴くふりをして、うっかり自分が会話の主導権を握ってしまうこと、ありませんか?
じん子に欠けていたのは、「相手の目線で」「相手の気持ちに寄りそう」「自分の経験は聞かれるまで話さない」っていうことでした。ムズカシイ…
と同時に、誰かから相談事を聴いたとき、つい「解決策」を考え、提案してしまいがちなせっかちな自分を反省。(ノ_-)
スピーディに策を提示することより、まずは「大変だったね」って共感の言葉を伝えること、重要なんですね!
さて今回の「人事プロデューサークラブ通信」は、社員の声にじっくり耳を傾け、「シニア向け・ジョブ型人事制度」を構築された、エプソン販売株式会社様の事例研究会のレポートです。
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☆ 人事プロデューサークラブ 第115回 事例研究会 ☆
テーマ
「シニア向けジョブ型人事制度の導入事例」
ご発表者
エプソン販売株式会社 経営推進本部 人事部長 青木 晋平 氏
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企業紹介と自己紹介
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まず、エプソン販売さんの会社概要のご説明と、青木さんの自己紹介がありました。
エプソンさんといえば、プリンターやプロジェクターの他に、麻布台ヒルズでの「チームラボボーダレス」も人気ですね!
https://www.teamlab.art/jp/e/tokyo/
社会科見学好きのじん子としては、いつか諏訪に行くことがあったら、「エプソンミュージアム諏訪」にも訪れてみたいなと思っています!
https://corporate.epson/ja/about/experience-facilities/epson-museum/
「スノボでかっとび」「ライブで推し活」「ラーメンを食べ歩く」がご趣味の青木さんの自己紹介もいただき、いよいよ今日のテーマのご発表です!
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シニア向け人事制度、構築の背景
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今年4月より、企業に課せられた義務として、定年制度の廃止、65歳までの定年引き上げ、65歳までの継続雇用制度の導入の、いずれかの対応が必要になりました。また、2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正で、70歳までの就業確保も努力義務化されていす。
こうした中、思い切って定年制度の廃止をされた企業さま、給与制度や等級制度などの見直しをされた企業さまも多いのではないでしょうか。
エプソン販売さんにおいても、シニア世代社員のみなさんからの不満の声を吸い上げ、シニア社員の貢献に見合った処遇や評価制度を再構築し、モチベーションUPにつなげていく取り組みが始まりました。
ご発表資料より:「シニア社員の本音」
・もっと職場の人たちの役に立ちたい
・いつまで雇用してもらえるか不安
・評価や賞与が無くモチベーションが上がらない
・リスキリングの機会を与えてほしい
・面談や1on1が全然無くて寂しい …etc
みなさんの会社ではどうでしょうか?
こうした声、聞こえてきていませんか?
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シニア世代に期待すること・求める行動とは?
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ここで青木さんから、シニアがどのように活躍できるかのビジョンを具体的に描くために、「シニア世代に期待すること」「シニア社員に求める行動」を整理していただきました。
これらをシニア社員に周知させるには、多くの時間をかけた対話だけでなく、説明会やガイドブックなども活用します。そして、「あなたに期待すること」「求める行動」を、双方確認していきます。
青木さん「自分だけ良ければ…という考えだと、組織のパフォーマンスは上がりません。これまでの反省から、職場での協調性や勤務態度、ハラスメントなども、制度の改訂とともに見直していきました」
今回ご紹介いただいた施策は、どれも非常に時間をかけてつくられたものだなと感じます。
その活用事例ということで、シニア社員を一定期間地方自治体に派遣する「地域活性化起業人」という、新しい取り組みについてもご紹介いただきました。
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ついに誕生!「シニア向けジョブ型人事制度」
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このような活動を経て、シニア人材の貢献を正当に評価しつつ、労使ともに納得感のある処遇を実現した「シニア向けジョブ型人事制度」がスタートします。
ここでも、現役社員の声を吸い上げた上で、処遇の考え方や基準を明確にし、丁寧に説明していった…という経緯がありました。
この制度の一部をご紹介すると…
賃金: 現役(基本給と賞与)
シニア(基本給とインセンティブ給・パフォーマンス給)
職務: 現役(グレードや等級に応じた職務付与やローテーション)
シニア(毎年希望するジョブに応募)
おお、この2つだけピックアップしても、シニアのみなさんのモチベが上がるような気がしますね!
続いて、職務の専門性・貢献範囲・市場価値に基づく5つのジョブ区分を設定し、それに応じた基本給水準のベンチマークや、実際に使用されている「ジョブディスクリプションの事例」や、導入に至るまでの細かなスケジュールも共有いただきました。
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「シニア向けジョブ型人事制度」導入してわかったこと
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青木さん「シニア人材のキャリア選択と挑戦を後押しする、パフォーマンスやインセンティブに応じた賞与制度、これが実際やってみるとすごく評判がいいんです」
ジョブの専門性・貢献範囲・市場価値に応じて報酬水準を階層化し、それを明確に提示したことで、その人のライフスタイル(親の介護がある、体調があまり良くない等)に応じた働き方の選択ができ、社員の不公平感がなくなったそうです。
確かに、定年後、仕事の目標と賃金水準を自分で選択できる制度って、いいですね!
今年4月からは、選択定年制度(その理由も問わない)も拡充。また、1年間無料で受けられる社外転身支援サービスも開始したり、社員のキャリア内省のための研修を見直し、半年後にフォローアップを実施することにしたそうです。
ご発表後の質疑応答タイムでは、事前にメールでいただいたご質問や、チャットやオンライン参加者からの質問にも丁寧に回答くださいました。
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参加者の声(一部抜粋)
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・実務的に苦慮された点が伝わってきました。私も企画に携わっているため、大変参考になりました。
・まさに、当社も近い取り組みをしたので、考え方に共感できました。同時に弊社の取り組みについて、安心できました。取り組みレベルはとても及ばないですが、資料を拝見して、当社の制度をブラッシュアップしたいと思っています。
・弊社では現時点でシニアの数が多いわけではないが、今後増えていく層になるので意識して制度設計等は行っていきたい。
・定年後人材の活用について参考になった。
・将来的に対象層が増えた場合には導入していきたいと思っています。
・従業員の平均年齢が上がっていく中でシニア層の制度改定については、急務ではないと思いつついつか必ず直前する課題と認識しています。こういったセミナーを受講した際に社内で議論する場を設けたいと思います。
参加者のみなさんにとって、多くの気づきがあり、自社に持ち帰って議論すべきテーマをご提示いただいたようですね。(^^)
今回のご発表を聴きじん子が最も心に残ったのは、青木さんから最初にご紹介いただいた、エプソングループさんのパーパス、
「省・小・精」
― 大きいこと、量が多いことだけが豊かさではない。
省くこと、⼩さくすること、精緻さを突き詰めること ―
まさにその理念が宿った、無駄がなく丁寧で精密で、心の通った人事制度であるということでした。
青木さん、素晴らしいご発表と資料を、ありがとうございました!またぜひエプソン販売さんのその後、お聞かせいただけるとうれしいです!