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2026.04.15

不当なハラスメント申告に人事はどう向き合うか?専門講座レポート

みなさん、こんにちは!(^^)/
人事プロデューサークラブの広報担当、人事の妖精・じん子ちゃんです!

今回は、弁護士の岩崎通也先生による専門講座「不当なハラスメント申告への実務対応」のレポートです。

多くの判例と岩崎先生の知見から、不当ハラスメントへの人事としての対応方法をレクチャーいただきました。


2026/3/18開催 専門講座

「 不当なハラスメント申告への実務対応
  ~根拠のないハラスメントの主張に人事はどう向き合うべきか~ 」

講師:楠・岩崎・澤野法律事務所 弁護士 岩崎 通也 先生

■ 岩崎先生より、開講前のメッセージ

「ハラスメント」を不当な主張の手段にさせない。事後トラブルを回避する実務の急所とは。


近年、企業におけるハラスメント対応の重要性が高まる中で、通報制度や相談制度を利用したハラスメントの申告は年々増加しています。
その一方で、ハラスメントの主張の中には、そもそもハラスメントに該当しないもの、正当な業務上の指導や評価に対する不満を背景としたもの、更には意趣返し等の不当な目的によるものがあることも事実です。

このような申告に対して、人事部門としては、そもそも調査が必要なのか、不当な申告を理由として注意指導や処分ができないのかといった点で悩まれるケースも少なくありません。

本セミナーでは、実例を交えながら、不当なパワーハラスメントの申告がなされた場合を中心として、人事が直面しがちな判断のポイントや後から問題になりやすい対応を整理します。

人事労務担当者の皆様がハラスメント申告対応に疲弊することなく、適切に対応するために実務的な視点を深める機会となれば幸いです。


■ 近年のハラスメント申告をめぐる実務動向について

弁護士として27年間、企業からの人事労務系の相談を主に扱ってこられた岩崎先生。
当人事プロデューサークラブとも長いお付き合いをいただいています。

今回は、企業でハラスメント申告が急増し、内容も不当・過度・主観的なものが増えているという実状から、ハラスメント申告をめぐるここ数年の動向からお話しいただきました。

まず、その背景には、令和4年のパワハラ防止法施行による企業の相談窓口設置義務、社会的関心の高まり、若年層の意識変化、そしてパワハラ・セクハラに加えガスハラなど概念の拡大があります。
令和5年の厚労省の調査では、過去3年間に勤務先でパワハラ、セクハラを受けた割合はそれぞれ19.3%、6.3%という結果も出ています。

企業には申告者保護義務と事実関係の正確な調査義務が課され、対応を怠れば、労働施策総合推進法や安全配慮義務への違反として損害賠償責任を負う可能性も!
裁判例でも調査不十分が問題視され、担当者個人が訴えられたという例もあるそうです。Σ(゜д゜lll)

そういった人的・時間的リソース不足や、事実認定が困難な申告への調査をどうするか、経営層と人事担当の判断の相違なども悩ましいところです。

■ 不当な申告に対する初動対応とは

では、「不当」と思われる申告に、人事担当者はどう対応していけばいいのでしょうか。

例えば、こんなクレームが想定されます。

① 調査しなかったことに対するクレーム
② 調査方法に納得いかないとのクレーム
③ 調査の結果としての事実認定に納得できないとのクレーム
④ 調査報告書やヒアリングの結果を開示せよとのクレーム
⑤ 不当な申告として注意・処分した場合に当該対応に関するクレーム

「うん、それあった、あった!」と、思い出される方もいらっしゃるのでは?

岩崎先生からは、東京地裁の実際の判例などをご紹介いただき、

・場合によっては損害賠償請求に発展することもある
・調査担当者個人が訴えられたS社事件
・会社だけでなく担当者自身のリスク管理も重要
・厚労省も「一見パワハラに該当しない事案でも広く事実確認を行うべき」としている
・企業には迅速かつ正確な事実確認義務がある
・調査をしない理由を説明することは困難であるため、実務上は簡易なヒアリングでも実施し記録を残す方がリスク管理として有効

など、担当者がすべき具体的なアクションについてもお話しいただきました。

■ ハラスメント認定をしなかったらどうなるか?

ここで問題になってくるのは、「調査しましたがそれはハラスメントには該当しませんでした」という結果が出た場合です。
ハラスメントが「不認定」となっても、企業には申告者へ結果を報告する義務があり、遅滞は安全配慮義務違反となり、厚労省も調査結果や今後の対応を申告者へフィードバックすることを求めています。
令和4年、東京地判での某学校法人の事件では、結果報告を8か月放置したことが債務不履行とされ、慰謝料の支払いを命じられました。

しかし一方で、調査内容や不認定理由の詳細を開示する義務はなく、前項で上げたS社の判例のように、個人情報保護の観点から調査過程を開示しなかったことが合理的と判断されたこともあります。
このように、調査への支障やプライバシーへの配慮等を「開示しない理由」とするなど、会社の裁量も認められています。

ここでじん子が難しいなと感じたのが、
・悪意/虚偽を立証できるか(証拠となるものがあるのか?)
・被申告者に対する逆ハラスメント(これは辛い!)
・調査者に対する執拗な要求(すごくイメージできます)
・同種の申告を繰り返す行為(これもあり得そう…)
などです。

では、「不当な申告を行った申告者」に対し、会社は注意指導・懲戒処分することができるのでしょうか?
また、もしもそれが「不当」だと判断された場合、被申告者(加害者とされた者)に対する対応はどのようにすればいいのでしょうか?

なるほど、企業は申告者・被申告者双方への対応を適切に行う必要があるんですね!
じん子はそれと同時に、この二者の間に入り、根気よく調査・調整を行ってきた人事担当の方へも、上長から何らかのケアをしていただきたいと願います!(すごいしんどいと思う…)

■ さいごに

今回の専門講座のラストで、岩崎先生より6項目のまとめのキーワードをお伝えいただきました。
(人事プロデューサークラブ会員の方はぜひアーカイブを!)

その中の1つをご紹介します。

な、る、ほ、ど!!

確かにこれが一番の肝かも知れませんね。
たくさんの事例・判例を熟知しておられる岩崎先生の、合理的かつ深いお言葉、ありがとうございます!

講座の一番最後に、今日のレポートで「S社」としてご紹介した判例を、「ぜひご一読ください」とお知らせいただきました。

下記に、ご紹介致しますね。

・労働者健康安全機構 Webサイトより
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpo21/sarchpdf/91_18-19.pdf

・My News Japan 2016/09/06(途中までお読みいただけます)
https://www.mynewsjapan.com/reports/2275

■ 参加者のご感想(アンケートより一部抜粋)

・具体的かつ専門的で悩みどころを明快に説明いただけました。

・当社でも増えている「ハラスメント」とは言い切れないグレーゾーンの申し出への対応について一定の見解を得られた。

・実務に沿った内容で、また判例も取り上げていただいたので、とても有益な情報を得ることができました。

・当社でも起きている事象でタイムリーな内容でした。

・通報窓口とその対応について、理論だけではなく実務的に出くわしがちなケースのお話を聞けた。

・実務担当者としての注意点等を確認することが出来た。

岩崎先生、今回もわかりやすくためになる講座を、ありがとうございました。( ´∀` )